継承する
僕は海外大学に留学をしたいと両親に相談したときに、10年後にこれまでもらったもの全部倍にして返すから行かせてくれというお願いをしました。 その返答として父親から言われた言葉がずっと心に残っています。
「俺はもう50代で、経済的に安定したし、子供も大きくなって時間にも余裕ができた。だからやっと親孝行できると思ってたら数年前に親父が死んで、結局何も返せなかった。 でも親父が常に俺に言ってたのは、親が与えたものは返すもんじゃなくて子供に受け継ぐもんだって。だからお前は俺たちに返そうなんて思うな、次に繋げ。」
俺はその言葉はこの世界の核心をついているなと思いました。俺の親父の親父の親父もおそらく同じようなことを言っていて、そしてそれは遥か遠い昔から続いてきたものなんだって。 そして、その受け継いでいるものの本質は、資産や知識など形になるものではなく、その思想そのものなんだなってことをそのとき初めて理解したんです。
もちろん俺は今でも、両親に限らず人生を通して自分に与えてくれた人に何か返したいなと思っています。 でも何より大切なのは、その川の流れを俺が止めないこと、そしてさらにはもっと大きなものにして次に繋げることでした。 それは果てしない壮大さの中に存在していて、遡ればビッグバンから 生物は死に、物質は風化し続けてきた。ただそれでも今こうして宇宙は存在し続けている。 人類史だけで見ても 俺たちが学校で学ぶような知識だったり 文化や社会制度、製品なども全てが世代を超えて受け継がれてきた。 今を生きている俺たちが どんな形でもそれを次に繋げることは、肉親のような直接何かを自分に与えてくれた人だけでなく、 その肉親に何かを与えた人、残した人、その環境全てを救う行為であって、それこそが最高の恩返しなんです。
俺がしたい継承には、生物学的継承と文化的継承があります。 生物学的継承は、自分の遺伝子をそのまま次の時代に残すこと。生物学的な子供を作るってことですね。 これは当たり前だし、その子供にはそれなりに豊かに生きて、また次に繋いでくれたらいいなとだけ思います。 文化的継承は、自分の持つ情報や思想をもっと多くの人に伝えることです。さっきも少し触れた通り、思想というのは何千・何万年単位で受け継がれます。 歴史を振り返ると、組織や権力など、形に残ってしまうものは世代を超えて簡単に滅びてしまいます。これは必然であり、必要な流れです。 ただ思想というのは、儒教やギリシア哲学のように、そのもの自体の力は薄れても今の社会にも根強く存在し続けています。 なぜなら、それらは人の価値観と行動原理に直接作用するからです。最近でいうと、ONE PIECEのような漫画もそうした力を持っているはずです。
ここで思うのが、後者の文化的継承が持つ力は生物学的継承のそれを遥かに凌駕しうるということです。 文字や活版印刷、インターネットの発明は、それを可能にしました。多くの人にとってはすでに、親やリアルで出会った大人よりも、本やインターネットから受けている影響の方が大きいと思います。 ここからは僕の完全なエゴなのですが、それを利用して自分の大切にしたい価値観や世界観をちゃんと広めたいなと思っています。 世の中の大半の人は常識や社会規範に則って行動しますが、それらは大抵間違っています。マジョリティがそうであるという事実はおそらく変わりようがないし、変えるべきではないのかもしれないけど、 せめて俺の周りにいる人の考えをちょっと変えるくらいなら大丈夫だろうと思うのです。 俺がそうしたいと思うのは多分、そのずれとか違和感が自分を苦しめてきたし、周りの人がずれたことをして苦しんでいるのを見てきたからです。 もう一度言いますが、これは正しさではなくエゴです。自分のエゴのままに、自分の文化的遺伝子を広めていきたいという思いがあります。
さて、具体的に何をするか。ここからは歳を重ねるにつれて考えが変わっていくと思います。 原理としては、出会う人を増やすことと、出会う人に対して正直になることが重要です。 出会いの数に関しては、現実世界でもそうですし、本・プロダクト・文化・インターネット・AIなどを使って自分の分身を複製することによって最大化します。 正直になるってのは自分の中のマインドセット的なものなので、思想を伝搬させるという強い意思があるだけで実現します。 このブログや文章も突き詰めればそういうことなんだと思います。100人読んでくれて、その中の1人でも「継承する」という意思を持ってくれればいい。 あとは養子縁組を大規模にやりたいですね。なんだかんだ言っても結局は家族だと思うので、たくさんの子供を養って100^2=1万人規模の大家族を作りたいです。 これ思うのが、俺はいつでも養子縁組を活用して子供を作れるんですよね。一般養子縁組なら、俺が40歳になった時に30歳の人を養子にすることも可能。 ちょっとカルトチックになってしまうけど、みんなひっくるめて正式な家族にしちゃおうぜってのは、白ひげ的でめっちゃ面白いですよね。 コミュニティが今流行っているけど、行き着くところは家族だと思うんですよね。ま、あとはなんだろう、芸術や文化にそれらを落とし込んだりとか、そこら辺なのかな。
まあこれはそういうゲームというか、思考する人間の責務だと思うんですよ。 お前には考えるだけの余裕と能力を与えたんだから、それを世の中にちゃんと伝えろって誰かから言われている気がして、やらずにはいられないのです。 俺みたいな人間が存在して、それでも世界は慣性を保ってなかなか動かず、いい具合に均衡しているんだなっていうそういう感覚です。 まとめると、「継承」というのは僕の人生の大きなテーマであり、それを大切にやっていくよという話でした。